にほんごNPO 外国人住民のための日本語教室、外国につながる子ども達の学習支援
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2022年3月号(219号)

2022年3月号(219号)

世界情勢が大きく動く中、桜は今年もつぼみを開いて皆を喜ばせてくれます。
感染症や争いのような困難にも負けない心で、春の空気を深呼吸して歩いていきませんか。


にほんごNPOだより

「日曜教室」再始動

感染症の拡大を懸念してお休みをしていた日曜日の日本語教室を、3月からスタートします。

ぐんぐん教室和田(通年開催)

こちらもお休みしていたぐんぐん教室ですが、3月は学年のまとめの月ということで
無理のない範囲で開催をしていきたいと思います。※状況により変更の可能性あり
【3月の予定】
3月5日(土)15:00ー17:00
3月12日(土)15:00ー17:00

3月3日・4日と公立高校の受験がありましたが、外国につながる子どもたちの学習環境は
まだ万全とはいえない現実があります。今後ともサポートをしていきたいと思います。

小春日和~現場から~…杉山美樹子

◆リニューアル号より、特集として日本語教師のつぶやき、学習者のつぶやき、海外駐在を
経験された方の声などをひろっていきたいと思います。
今回は、幼稚園で外国につながる子どもへの日本語指導をしている杉山さんのコラム後編です。
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【当たって砕けろ・幼稚園児との初めて体験「あいうえお」】

前回のメールマガジンでは、タングラムを使った「形の名前」の指導についてをご紹介しました。つづいては・・・

指導案
その2.「あいうえおカード 字と音とを一致させよう」
    手拍子に合わせてしっかり発音
    ・・・これはいいですね。回を重ねるごとにそろってきました。

その3.「園児たちをお店屋さんのチームに分け、絵カードを使い何を拾ったかを発表」
    (動物・くだもの・やさい・のりもののカードを使用)
     ・・・前回、歌で「くだものやさん」等を歌っていたので、みんな覚えていました。
    「〇〇を拾いました。」の「を」を言い忘れてしまうけれど、発表できればOK!

その4.「ひらがなビンゴ(文字のかたちを意識してみよう)」
    プリントされてある、あ行からさ行までの文字を3×3マスに各自選んで切って貼る。
    文字を「〇で囲む」囲むってなんだろう。
    ・・・さすが幼稚園児、「はさみで切る、のりで貼る。」とても上手です。
    ビンゴの景品は、折り紙で作った手裏剣やこま。これらを箱に入れ手探りで取って
    もらいました。勘のいい子は手探りで好きな方をゲット。
    ひいた文字を黒板かどこかに並べておけばよかった。園児が自分で文字を確認
    できたのにと猛反省。でも、このビンゴ、盛り上がりました。
    
残念、読み聞かせの時間がなくなってしまいました。
気を抜くと園児たちにもみくちゃにされそうになりながらのあっという間の怒涛のような
90分でした。

にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子

◆にほんごNPOの代表として種々の活動に取り組む中で感じた諸々を綴ります。

【幼稚園から高校まで】

浜松市教育委員会から、初めて小中学校での日本語・学習支援事業を受託したのは、
2010年度だったから、かれこれ12年が経ったことになる。

ボランティアを募り、「龍の会」を結成して、竜禅寺小学校で放課後学習支援を始めた年
から数えると、子ども支援は、丸20年になる。

「見るに見かねて」手探りで始めた活動だった。お得意の「走りながら考える」精神で、
切り抜けてきた。「龍の会」も、遠州浜小学校で立ち上げた「放課後勉強会」も、それぞ
れ自立し、子ども支援の中心は、市教委からの受託事業に絞られた。これは、かなりの専
門性を必要とするが、この12年の間に、本当に優秀な若手が育った。

2019年度からは、プレスクール事業を受託。4月から新一年生となる外国人の子ども
たちと保護者のための「学校体験教室」だ。3年目となる今年は、コロナウイルスの感染
拡大のため、2回を行ったところで中止になってしまったが、これまでの経験や研修で培
ったノウハウや、工夫を重ねた教材は宝物だ。

今年度は新たに、杉山さんがコラム「小春日和」でお伝えしている通り、幼稚園での日本
語学習支援を始めた。ああでもない、こうでもないとバタバタしているところに、「日本
の高校で学ぶ外国人生徒のための日本語教科書」を作ってくれませんか、という依頼が舞
い込んだ。完成の暁には、静岡県国際交流協会のホームページからダウンロードして使え
るようになるはずだ。

子ども支援を始めてから20年。ついに幼稚園から高校までカバーするに至ったんだなあ
と思うと、非常に感慨深いものがある。

思い出BOX…. 田野聖一

◆国内外の日本語学校やNPOの日本語教室で日本語教師を長年務めてきた田野聖一さん
の「思い出BOX」をそっと覗いてみましょう。
田野さんは4年前に静岡文化芸術大学に入学して日本語学や英語教育を学び、4月に
大学院進学を控えていらっしゃいます。
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【春】

妻は毎年脱皮する。
2月の下旬になると指先の爪の辺りの皮がむけてくる。
「春が近いな。」
はがれ始めた皮を見て妻がつぶやく。ヒトとしてどうかと思う。
 
先日、静岡県型初期日本語教室ネットワーク会議に参加した。
自己紹介で「どんなときに春が来たと感じるか」を各自一言ずつ加える。
まじめに話してもおもしろくない。
「脱皮のネタを使おうと思ったんだけどね。」
帰宅後妻に話した。
「えっ、やめてよね。」
「時間がかかりそうだからやめた。」

2つめの候補は「河津桜のニュースを聞くと腹が立つ」だった。
河津桜は1月の下旬に咲く。
ニュースで流れると、一足早い春ですね、などとキャスターがコメントをする。
これが腹立たしい。
こちとら冬は大嫌いだ、このクソ寒いのに春なんて感じられねぇ、
適当なこと言ってんじゃねえよ、と思う。

「春を感じるのは、庭の河津桜が咲いたときです。」と自己紹介をした人がいた。
「言わなくてよかったよ。」
「そうね、感じ悪いもんね。で、何を話したの。」
「朝起きて、明るいなと思ったとき。」
「つまんないし、芸もない。」
脱皮ネタを使えばよかった。


《編者メモ》

外国につながる子どもたちの支援に携わってきたものとして、毎年公立高校受験の
日には「あの子は大丈夫だったかな」「面接では緊張しなかったかな」と子ども達以上に
ドキドキしてしまいます。数学はどうだったかな、でもやはり国語や社会の設問を読み
解けるようになるまでは遠い道のりだなと、試験問題を見ては感じてしまいます。(梅)

ニューズレター「異文化交差点」
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