にほんごNPO 外国人住民のための日本語教室、外国につながる子ども達の学習支援
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2022年4月号(220号)

2022年4月号(220号)

いよいよ新年度、新学期が始まりましたね!
満開に咲く桜を眺めながらの入学式・始業式になるといいですね。

にほんごNPOだより

新年度が始まります。

  • 社会人のための日本語教室は、これまで通り木曜日と日曜日に開催します。
  • 子どものための学習支援教室は、東区薬新町の天竜協働センターで5月にスタートします。
  • 浜松市教育委員から受託した「日本語・学習支援事業(東区・浜北区・天竜エリア)」は、
    第1回の研修会を4月1日にリモートで行いました。
  • 読書会を計画しています。月に2回、金曜日の午後、リモートで行う予定です。
    課題図書はバトラー後藤裕子著『多言語社会の言語文化教育』(くろしお出版)です。
    参加を希望される方は、加藤にお電話ください。

小春日和~現場から~…. 岩瀬ひろみ

◆リニューアル号より、特集として日本語教師のつぶやき、学習者のつぶやき、海外駐在を
経験された方の声などをひろっています。
今回は、「日曜教室」を担当されている岩瀬ひろみさんのコラム前編です。
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「日曜教室のご紹介」

にほんごNPO日曜教室担当の岩瀬です。
早いものでこちらの教室に関わるようになってから10年以上になります。
会場も当時のHICEやザザシティ等いくつも変わったなぁとなつかしく思い出します。

現在日曜教室は市民協働センターで開催中、こちらの会場では入ってすぐのところに
検温と消毒のできる機械があります。
スタッフさんの前を挨拶しながら通り過ぎ、二階の奥にある研修室に向かいます。
クラスは基本N1からN5の日本語能力試験の受験する学習者向けになっていますが、
まったくのビギナーもたまにいらっしゃるので、入門クラスとして対応していただいています。
コロナ禍のせいで学習者の数が少ない傾向が続いているので、学習者ひとりに先生ひとりと
なってしまうこともあり、考えようによってはお得なマンツーマンレッスンになることもあります。

クラス中は、基本窓を開けているため、アウターを脱がないままの方も見られます。
ちょっと寒いのかもと思いますが、ここはガマン!ひとつのテーブルに学習者は一人で、
マスクをつけて適度な距離を保って勉強しています。大きな声で先生の発話をリピートと
いったことはあまりしなくなりましたが、かえって少人数ならではの対応ができているの
ではと思います。クラスの後は感染拡大を防ぐため、先生たち総出で使用したテーブルや
椅子を拭いたりもしています。 <後編へ続く>

にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子

◆にほんごNPOの代表として種々の活動に取り組む中で感じた諸々を綴ります。

【新たな挑戦~第二言語を習得するということ】

新年度、私たちの担当するエリアでは、新たに日本語基礎指導を始める児童が5名いる。
2年生、3年生、4年生がそれぞれ1名。そして、6年生が2名。
どの子もゼロレベルからのスタートだ。

日本の学校に就学する以上、日本語で教科を学習する力をつけなくてはならないが、
日本語基礎指導に充てられる時間は、80時間しかない。
異文化・異言語の世界に突然放り込まれた子どもたちの長くて苦しい旅が始まる。

できれば、子ども達の旅をワクワクするような旅にしてあげたい。
私たち指導者にとっても、日本語基礎指導のスタートは、新たな挑戦の始まりだ。

【朗読を聴いて思うこと】

このところの楽しみは、隙間時間に朗読を聴くことだ。

NHKラジオの聞き逃し配信の中に、高校国語講座がある。
その中の「現代文」という番組の中に「朗読の部屋」というのを見つけた。
これまでに、中島敦「山月記」、井伏鱒二「山椒魚」、
山本文緒「話を聞かせて」、米原真理「バグダッドの靴磨き」等を聞いた。

自分で文字を追うのと異なり、朗読者が咀嚼した内容を聞き取ることになる。
それが、非常に新鮮で楽しい。皆さんにも是非お勧めの番組だ。

「聴いて分かる」ためには、かなりの語彙力が必要だ。
「山月記」の冒頭の漢文調の部分は、リズミカルで心地よい響きだが、
音声を聞いてすぐに漢字変換できない。
日本語ネイティブでありながら情けない話だが、語彙力の限界を感じつつ
本編の解説を聞いたり、「学習メモ」を読んだりして、言葉の意味を確かめ、
「分かる」こと、「知ること」の喜びを味わう。

令和5年度から、高校でも日本語を母語としない生徒への特別の教育課程が始まる。
高校での日本語指導が卒業単位として認定されることになる。
高校での学習に困難を抱える外国ルーツの子ども達も、「分かる」を積み重ね、
日本社会の一員として、日本語を駆使し生き生きと働ける大人になって欲しい。
【資料3】高等学校等における日本語指導の制度化(案)について (mext.go.jp)

思い出BOX…. 田野聖一

◆国内外の日本語学校やNPOの日本語教室で日本語教師を長年務めてきた田野聖一さん
の「思い出BOX」をそっと覗いてみましょう。
田野さんは4年前に静岡文化芸術大学に入学して日本語学や英語教育を学び、4月からは
大学院で学ばれます。
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【スピーチ】

カラスの写真があった。
インドネシア人技能実習生のスピーチ用のスライドの写真だ。
 「なんでカラスなの。」
 「国では珍しいです。日本にたくさんいて驚きました。」

彼らは、来日後、研修センターで日本語などの勉強をする。
1ヶ月間の研修中はセンターから出られなかったので、
毎日窓から日本の風景を眺めていた。その時の写真だそうだ。

今期の掛川市役所の日本語教室クラス4ではスピーチ原稿を作った。
「今までの私・今の私・これからの私」がテーマだ。

コースの最終日に発表をした。日本人サポーターが観客だ。
外国人と一口に言っても様々な人生がある。その一端に触れてもらえればと企画した。

外国人学習者は、自分の人生を振り返り今を確認することで、
これからの人生を主体的に考えられる。
自分の人生を日本語にし、話すことで新しい表現や単語を覚えられる。
インドネシア人技能実習生は「フェンス」という単語を覚えた。

フィリピン人女性とインドネシア人技能実習生がスピーチをした。
フィリピン人女性はスピーチ後のコメントに
 「私は自分の予想よりもはるかに多くのことを学んだことに気づきました。」
と書いた。

スピーチの映像はNPO法人掛川国際交流センターのFacebookにあがっています。
興味のある人は覗いてみて下さい。

NPO法人掛川国際交流センター | Facebook

《編者メモ》

今号から、編集を任されました。桜の開花が進むごとに、ニューズレターの発行日も近づきます。
新しいことにチャレンジするということは、不安や期待と共に一歩を踏み出すことですね。
子どもたちも感じている気持ちかなと思いました。(空)

ニューズレター「異文化交差点」
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