にほんごNPO 外国人住民のための日本語教室、外国につながる子ども達の学習支援
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2023年4月号(231号)

2023年4月号(231号)

河津桜が葉桜になり、ソメイヨシノが花開いたと思ったら、
暖かい日が続いて、あっという間に満開になりましたね!
春らしくなってきました。浜松の街中も、春休みを楽しんでいる
子どもたちが嬉しそうに闊歩しています。

  1. にほんごNPOだより
  2. 小春日和~現場から~….齊藤明子
  3. にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子
  4. 思い出BOX…. 田野聖一
  5. 《編者メモ》

にほんごNPOだより

子どものための学習支援教室「ぐんぐん和田」(天竜協働センター)
4月はお休みです。
5月13日(土)15:00~17:00
5月27日(土)15:00~17:00
参加ご希望の方は、090-6363-1006(さいとう)にお電話ください。

小春日和~現場から~….齊藤明子

◆日本語教師のつぶやき、学習者のつぶやき、海外駐在を経験された方の
声などをひろっています。
今回は、「ぐんぐん教室」で子どもたちの支援をしてくださっている齊藤明子さんです。
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【熱い思いが人を動かす】

今年も桜が美しくピンクの花びらを風に揺らしている。
桜の季節は出会いと別れの季節でもある。

『ぐんぐん学習会』で学んだ子供たちもまた、一つ学年を上げ、それぞれの道に進んで行く。
高校生になった子、中学生になり部活動に邁進していく子、
一つお兄さんお姉さんになり頑張ろうと張り切る子、
学年が上がっても相変わらずのんびりペースな子。
子供たちの成長の度合いもまたそれぞれだ。
そして、もうじき元気な子供達が今年もまた天竜協働センターに集まってくるだろう。

思い返せば、この『ぐんぐん学習会』は一人の指導者の熱い想いから始まった。
私はその人物の熱い想いにいわば「巻き込まれて」、今を迎えている。

その人物の名は齋藤純子さん。
天竜協働センターでの隔週土曜日の『ぐんぐん学習会』を中心になって運営し、
ご主人をも巻き込み、家族で力を合わせて「ぐんぐん」を引っ張っていってくれている指導者だ。
彼女がいなければ、天竜中学校区での『ぐんぐん学習会』がここまで続くのは不可能だった。

夏休み、冬休み期間だけの『ぐんぐん』が浜北地区でも開かれた年もあったが、
5年以上も続いてきたのは天竜協働センターでの『ぐんぐん』だけである。
もちろん彼女だけでなく、初期からの指導者である青木さんをはじめ、袴田さんや、
村上さん、杉山さん、石原さん、齋藤弓子さん、その他関わってくださった
多くの指導者のみなさんがいてこその今だと思う。

でも、純子さんの「子供たちの学習の場を作りたい!守りたい!」の想いがあればこそ、
指導者も都合をつけて参加し、子供たちも続けて通い、友達を学習会に誘ってきたのだと思う。

※来月に続きます。

にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子

◆にほんごNPOの代表として種々の活動に取り組む中で感じた諸々を綴ります。
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【春が来た】

春だ。新一年生が入学してくる。
去年、先生たちをとことん困らせたE君は、2年生になる。

3月中旬、1年生のE君の取り出し支援の最終日、
E君の顔を思い浮かべながら、絵本『ねずみくんのチョッキ』をカバンに入れた。

「勉強、よく頑張ったね。じゃ、絵本を読もうか。」
E君は、絵本を見るが早いか、当然のように音読を始める。
「日本語の文字が読めるようになった」というのが嬉しいのかもしれない。

「ちょっと着せてよ」「ちょっときついが似合うかな」など、初めて出会う表現も
繰り返しの多い話を読み進むうちに、どんどん流暢になっていく。
「何だ、これ。」「わあ、ライオンがゾウになった。」などと言いながら、物語の展開を楽しんでいる。
ごく簡単な絵本ではあるが、初見でこれだけ読めれば大したものだ。
E君に学年相当の読みの力がつくのは、そう遠くないような気がする。

さて、2年生になったE君に、どんな絵本を持って行ってあげようか。

思い出BOX…. 田野聖一

◆国内外の日本語学校やNPOの日本語教室で日本語教師を長年務めてきた
田野聖一さんの「思い出BOX」をそっと覗いてみましょう。
田野さんは4年前に静岡文化芸術大学に入学して日本語学や英語教育を学び、
現在は、大学院で学ばれています。
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【ハンカチ王子】

休み時間に男子学生が教卓にきた。
「スリランカで一番有名な象です。」
スマホで祭りの動画を見せてくれた。
派手な飾りをつけて歩く象の周りには銃をもった護衛の兵士が付き添っている。
前の授業で象の写真を使った。象好きだと思われたようだ。
帰宅しフェイスブックを開くと象の動画がきていた。
「動画を見ましたか」
翌日確認までされた。

学生からチョコレートをもらった。
バレンタインデーに、ミャンマーの男子学生からだ。
ラッピングされた袋には市販のチョコレートがいくつか入っていた。
50代半ばの男性教師が、20代後半の男子学生からチョコレートをもらう。
特別な意味(というのもなんだが)は、恐らくない。
日本では女性から男性が一般的だが、ミャンマーではお世話になっている人にも贈るという。
「田野先生、うらやましいです。」
職員室でひやかされた。

大学が春休みになったので、日本語学校でのシフトを増やした。
卒業生のクラスに週1で入る。3回目の授業だ。
学生に缶ジュースをもらう。
「私はもらったことないですよ。」
担任の教師がぼやく。

「象の動画といい、チョコレートといい、田野先生、何か持っていますよね。」
「ハンカチ王子じゃあるまいし、何も持っていませんよ。」
缶ジュースをくれた学生は、前日カードゲームで一人勝ちをした。
クラスみんなに缶ジュースをおごる羽目になった。
おこぼれに預かったのが私だ。

《編者メモ》

春になると、何かを始めて、新しい自分に出会いたくなるのが不思議です。
私だけではないようで、私の勤務先である社会人資格取得スクールでも
新しいスタートを切る方が多いように思います。
日本語学校で勤務することになった、と証明書類発行の問い合わせが、
ここ数日増えています。留学生にとっても、新しいスタートですね。(空)

ニューズレター「異文化交差点」
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