にほんごNPO 外国人住民のための日本語教室、外国につながる子ども達の学習支援
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2022年7月号(223号)

2022年7月号(223号)

梅雨も明けて、暑い日が続いています。夏が始まりましたね!
日焼けに、熱中症対策…気をつけたいことがたくさんありますね。

  1. にほんごNPOだより
  2. 小春日和~現場から~…. 齊藤純子
  3. にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子
  4. 思い出BOX…. 田野聖一
  5. 《編者メモ》

にほんごNPOだより

  1. 令和3年度(2021年度)にほんごNPO総会のご報告
    にほんごNPOの定時総会を6月26日(日)13時30分より、リモート会議
    システム(zoom)を利用して開催しましたので、ご報告申し上げます。

    正会員62名のうち、出席した正会員は13名、委任状をお送りくださった方は
    37名でした。
    定款27条の「正会員総数の2分の1以上の出席」を満たしていますので
    総会は成立いたしました。

    総会では、下記の議案についての審議が行われ、全てご承認いただきました
    ので、ここにご報告いたします。
    それぞれの詳しい内容につきましては、
    以前、メール添付にてお送りした審議事項の資料をご確認ください。

    (1)第1号議案 令和3年度 活動報告
    (2)第2号議案 令和3年度 決算
    (3)第3号議案 令和4年度 活動計画案
    (4)第4号議案 令和4年度 予算案

    今後も、皆さまのNPO活動への積極的なご参加をお待ちしています。
                      (文責:にほんごNPO理事長 加藤庸子)
  2. 子どものための学習支援教室「ぐんぐん和田」(天竜協働センター)
    7月9日、30日(土) 15:00~17:00
  3. 読書会
    7月の読書会を下記の日程で行います。
    参加を希望される方は、加藤にご連絡ください。
    日       時:7月8日、22日(金) 13:30~15:00
    課題図書:バトラー後藤裕子著『多言語社会の言語文化教育』(くろしお出版)
    方       法:リモート会議システム(zoom)
    参  加  費:にほんごNPO会員は無料です。
  4. 日本語文法勉強会
    7月から日本語の文法勉強会を始めようと思います。
    参加ご希望の方は、fwkf6203*gmail.com(加藤)にご連絡ください。
    (お手数ですが、*を@に変えてください。)
    日時・内容など詳細は、皆さんのご希望を伺ってから決めます。
    にほんごNPO会員の方は、参加費は無料です。

小春日和~現場から~…. 齊藤純子

◆リニューアル号より、特集として日本語教師のつぶやき、学習者のつぶやき、
海外駐在を経験された方の声などをひろっています。
今回は、「外国人児童生徒放課後学習支援:ぐんぐん和田」を担当されている
齋藤純子さんのコラム後編です。
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【ぐんぐん和田~番外編】<後編>

先月号では、中1で来日後、県立高校に進学し、
校内でトップクラスの成績を収めたA君が、今春の大学入試では、
残念な結果に終わったことをお話ししました。

私は、宅浪をするというA君を心配し、NPOの加藤代表に相談すると、
この春まで、県立高校で化学を教えていらしたN先生をご紹介くださいました。

ゴールデンウイークのある日、私はA君と一緒に市民協働センターに向かいました。
N先生にお会いするためです。
A君は、これまでの経緯と鬱積していた不安をN先生に聞いていただくことが
できました。

同じ場に居合わせた私は、考えました。
今回は、偶然が重なり、A君へのタイムリーな支援ができましたが、
学校という場以外で、日本の大学を選ぶ基準や大学入試の仕組みについて
A君と日本語で語り合ってくれる大人が一体どこにいるのだろうかと。

ネットで一人、検索を続けていたA君は、「受験は勝負だ」という
N先生の経験に基づいたお話に熱心に聞き入っていました。

そして、受験までの具体的な道のりなども教えていただき、
さらに、継続してアドバイスをいただけることになり、
A君は、心の支えができたかのように明るい表情になっていました。

現在、大学入試について来日外国人生徒の特別選抜を行っている国立大学は
日本に1校しかないそうです(日本経済新聞2021年8月26日付)。
制度も遅れていますが、やる気と才能のある外国人生徒のための支援体制も
十分ではありません。

外国につながる児童生徒は、将来の地域を支える貴重な人材です。
一人ひとりの多様性にしっかり対応できる教育の仕組みがもっと必要であると
感じました。

※追記
N先生は、今年の春、60歳で退職されるとすぐ、加藤の古くからの友人と一緒に
にほんごNPOの事務所を訪ねてくださいました。今ではNPOのメンバーとして、
週に一度、中学校で支援をしてくださっています。(加藤)

にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子

◆にほんごNPOの代表として種々の活動に取り組む中で感じた諸々を綴ります。
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【自分のために音読をする】

専門書を読むには、かなり根気が必要だ。「批判的な読み」をしようと思えば、
なおさらである。60代も後半に差し掛かり、読まないからといって
誰かに咎められることはない。けれども、「知りたい」という気持ちの方が勝つ。
だから、読む。読まずに、積んでおくのも悔しいし…。

下線を引きながら読んだり、ポイントを抜き書きしたりすることもあるが、
なかなか根気が続かない。私にとっていちばん楽しい方法は、音読だ。
LineのKeepメモに録音をしながら、キリのいいところまで一気に読む。
初見で読むと、つまずくこともあるが、つっかえずに読めると達成感がある。

音読したからといって、内容がすべて理解できるわけではない。
洗い物をしながら、野菜を刻みながら、洗濯ものを畳みながら、録音を聴く。

音読するときには、間違えずに読もうと一生懸命なので、時々、内容理解が
おろそかになる。録音を聴くことによって理解が確かなものになる。
下線を引きながら読んだ時に気づかなかったことに、録音を聴いていると、
ふと気づくこともある。

読書会の課題の本(バトラー後藤裕子著『多言語社会の言語文化教育』)は、
2章の途中から録音を始め、7章まですべて録音が終わった。
7月8日(金)には、第5章を読む。「読み書きの発達」について書かれた章だ。

読書会に参加してくださっているみんなは、いったいどんな読解ストラテジーを
使っているのだろうか。私は、皆さんに音読をお勧めしたい。
ちなみに、英語の文献を読むときは、「書き取り」をする。

思い出BOX…. 田野聖一

◆国内外の日本語学校やNPOの日本語教室で日本語教師を長年務めてきた
田野聖一さんの「思い出BOX」をそっと覗いてみましょう。
田野さんは4年前に静岡文化芸術大学に入学して日本語学や英語教育を学び、
4月からは大学院で学ばれています。
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【進歩】

掛川市役所の日本語教室に11歳の男の子が来た。
インド人で、インターナショナルスクールに通っている。
飛び級をし、中2の勉強をしているという。

日本語は独学、インターネットで勉強した。
始めてから半年というが、N2の漢字くらいは読めるだけでなく書ける。
お父さん曰く
「書いて覚えるんじゃなくて、写真みたいに頭に移し込んでいる。」

先日は写真とともに自国の料理を紹介してもらった。
「これはピラウです。ピラウはインド亜大陸の伝統的な料理で・・・。」
11歳の子と亜大陸は不釣り合いだ。

インターネットで勉強しただけあって、ちぐはぐな日本語を使う。
初回の授業では「わかりましたか」と聞くと「リカイです」と返ってきた。
ああ「理解です」かと理解するまでにしばらく時間がかかった。
私に向かって「おいで」と言ったときは笑った。

先日、私の通う大学の先生が見学にきた。インド人の男の子は
「これ誰。」
と先生をこれ呼ばわりだ。失礼だからと注意する。

頭はいいので、次からは確実に直してくる。
「理解です」もすぐ「わかりました」に直った。「おいで」ももう使っていない。
先週は新しくベトナム人実習生の男性がクラスに入った。

「この男知らない。」
「これ」から「人」に進歩した。

《編者メモ》

梅雨入り間近だった前号と打って変わって、青い空がひろがっています。
庭に植えた「サンチュ」が、育ちすぎて「木」のように背が伸びています。
子どもたちも、ぐんぐん伸び盛りなシーズンになってほしいです。(空)

ニューズレター「異文化交差点」
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