にほんごNPO 外国人住民のための日本語教室、外国につながる子ども達の学習支援
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2022年8月号(224号)

2022年8月号(224号)

8月に入り、夏本番!暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
コロナ感染拡大のニュースが毎日流れています。
感染防止に努めつつ、熱中症対策も忘れずに毎日をお過ごしください。

  1. にほんごNPOだより
  2. 小春日和~現場から~…. 松沼素子
  3. にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子
  4. 思い出BOX…. 田野聖一
  5. 《編者メモ》

にほんごNPOだより

  1. 子どものための学習支援教室「ぐんぐん和田」(天竜協働センター)
    8月6日、20日(土) 15:00~17:00
    9月3日、17日(土) 15:00~17:00
  2. 読書会
    8月の読書会を下記の日程で行います。いよいよ最終章です。
    参加を希望される方は、加藤にご連絡ください。
    日       時:  8月26日(金)13:30~15:00
    課題図書:バトラー後藤裕子著『多言語社会の言語文化教育』(くろしお出版)
         第7章 カリフォルニアの言語政策とその影響
    方       法:リモート会議システム(zoom)
    参  加  費:にほんごNPO会員は無料です。
  3. 日本語文法勉強会
    ◆8月7日(日)14:00~15:30
     令和3年度「日本語教育能力検定試験」試験Ⅰ 問題3 B【品詞の性質】
    ◆8月21日(日)14:00~15:30
     同 問題3 C【様々な「の」】
    参加費:にほんごNPO会員の方は無料です。
    参加ご希望の方は、fwkf6203*gmail.com(加藤)にご連絡ください。
    (お手数ですが、*を@に変えてください。)

小春日和~現場から~….松沼素子

◆リニューアル号より、特集として日本語教師のつぶやき、学習者のつぶやき、
海外駐在を経験された方の声などをひろっています。
今回の担当は、木曜教室の松沼素子さんです。
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【木曜教室のご紹介】

木曜教室はクリエート浜松4階、HICE(浜松国際交流協会)のオフィスの隣にある
会議室で開催しています。
学習者さんのレベルに合わせて、識字クラス、N5クラス、N4クラス、N3クラス、
N2N1クラスの五つのクラスで対応しており、各クラス2~6名くらいの学習者さんが
常にいらっしゃいます。

私が担当するのは識字クラスです。
日本で生活していても、まったく日本語ゼロの状態の学習者さんも多数いらっしゃいます。
ひらがなの「あ」の書き方から始めて、カタカナ、簡単な漢字と少しずつできることを増やして
いきます。

読み書きと簡単な会話ができるようになると、次のN5クラスにステップアップして、動詞の活用
などを勉強するようになります。どんどん日本語ができるようになっていくのを見るのは嬉しい
のですが、できるようになると次のクラスに行ってしまうのは少し寂しいです。

数度に渡る新型コロナウイルス感染拡大の波を受けて、お休みしていた期間もありましたが、
現在はしっかり感染対策をとって授業をしています。入室時の消毒、換気、距離を取っての着席
あるいは、アクリル板の使用、使用後の机などの消毒といったように、できる限りの対策をして
います。

感染拡大の影響で、一時期学習者さんの人数が減ったこともありましたが、最近は、新規に
入国される方も増えているようで、少しずつ増えてきました。

せっかく日本に住むことになり、日本語を勉強するのであれば、日本での生活が楽しいもので
あってほしいと思います。そして日常生活がよりスムーズになるように日本語を教えることで、
学習者さんを少しでもお手伝いできると嬉しいです。

にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子

◆にほんごNPOの代表として種々の活動に取り組む中で感じた諸々を綴ります。
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【マルチリンガルへの道】

彼女には、7年前の5月、ある中学校の日本語支援教室で初めて会った。
日本語は、挨拶とひらがなの読み書きがちょっとできるレベルだったが、目がキラキラしていて、
やる気にあふれていた。彼女に日本語を教えるのは、とても楽しかったが、数か月後、指導者の
Sさんにすべてを託して、私は後方支援に回った。

1年と9か月後、彼女は、浜松市立インターナショナルクラスを受験して合格した。
誰もがその快挙に目を見張った。「先生が頑張るから、私も頑張った。」というその時の彼女の
言葉と、Sさんの目から滂沱とあふれる涙を忘れない。

その子が先日、私を訪ねてきた。8月中旬にアメリカに行くという。ある州の州立大学に合格した
のだそうだ。奨学金ももらえるという。

高校生の頃から、国外の大学への進学を目標にしていた彼女は、高校卒業後、しばらくして
国に帰った。国では、IELTS(アイエルツ)という英語能力試験に向けて英語学校に通い、着々と
アメリカ留学の準備を進めていた。

幼稚園から中学1年生まで、理系科目を英語で学んでいたことが功を奏したのだろう。優秀な
成績を取ることができたようだ。彼女は、「不思議だね。英語を忘れていなかったよ。」と言って
笑った。

「今、読み書きは、英語がいちばん楽。日本語は漢字が読めないことがあるから完全じゃない。
ネパール語はちょっと怪しくなってきた。」というのが彼女の自分の言語力の分析だ。

9月から、彼女のアメリカでの大学生活が始まる。

思い出BOX…. 田野聖一

◆国内外の日本語学校やNPOの日本語教室で日本語教師を長年務めてきた
田野聖一さんの「思い出BOX」をそっと覗いてみましょう。
田野さんは4年前に静岡文化芸術大学に入学して日本語学や英語教育を学び、
4月からは大学院で学ばれています。
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【豆】

足の裏とふくらはぎがだるい。

炭坑節を4回、東京音頭を5回踊った。
掛川市役所日本語教室の10回目、外部講師を招き盆踊りを教えてもらう。
教室コーディネーターが盆踊りなどロクに知らない私に言う。
「指導の前に炭坑節について説明するように。」
掘って、担いで、押して、に加え、一番の歌詞を紹介してもらいたいとのこと。

月が出た。三池炭坑の煙突がとても高いから、煙でお月さんは煙たいだろう。

歌詞の内容はこんな感じだ。
インターネットで検索し炭坑の上に月が出ている絵を見つける。
月に顔がなく使えない。「月が煙たい」の説明が必要だ。
ウェブ上の絵を見ながら、炭坑と月の絵を描く。月に目と口と鼻をつけてクシャミをさせた。

掘って、担いで、押しての絵を探す。
可愛いらしい炭坑夫が石炭を掘っている画像があった。
担いで、押しての絵も出てきたが、動作をしている人が炭坑夫ではない。
掘る、担ぐ、押す、の3枚も自前となる。

炭坑節は炭坑の歌、東京音頭は東京の歌と紹介した。
炭坑については写真を見せ理解してもらう。
準備に2時間かかったが、説明は20分で終わる。
外部講師の指導のもと、みんなで輪になって踊った。後ろで踊る学習者が笑う。

「先生、下がる足が反対です。」

普段しない動きをしたせいか、土踏まずに豆までできる始末だ。

《編者メモ》

「今日も暑いですね…。」あいさつに間違いなく加わる言葉です。
個人的には、冬の「寒いですね…。」と思わず言ってしまう季節より好きなのです。
子どもたちのように、長い夏休みがあればいいのになぁ。(空)

ニューズレター「異文化交差点」
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