にほんごNPO 外国人住民のための日本語教室、外国につながる子ども達の学習支援
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2024年10月号(248号)

2024年10月号(248号)

10月は「神無月」。全国の八百万の神様が話し合いのために
出雲の国に集まるため「神無月(かんなづき、かみなしづき、かむなづき)」
と呼ばれるようになった、ということだそう。
出雲では、「神在月(かみありづき)」だそうです。
神様も、今頃は積もる話に花が咲いていることでしょう。

  1. にほんごNPOだより
  2. 小春日和~現場から~….野秋貴靖
  3. にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子
  4. 思い出BOX…. 田野聖一
  5. 《編者メモ》

にほんごNPOだより

  1. 子どものための学習支援教室「ぐんぐん和田」(天竜協働センター)
    10月  5日(土)15:00~17:00
    10月19日(土)15:00~17:00
    参加ご希望の方は、090-6363-1006(さいとう)にお電話ください。
  2. 子どものための学習支援教室「ぐんぐん浜北」(ふれあい交流センター浜北)
    10月  5日(土)14:00~16:00
    10月19日(土)14:00~16:00
    参加ご希望の方は、下記のURLからどうぞ。
    または、090-7959-4153(たうち)にお電話ください。
     【ポルトガル語版】
     URL:https://forms.office.com/r/5hu0aWHuWP
     【英語版】
     URL:https://forms.office.com/r/i5mAmy6qhS

小春日和~現場から~…..

◆日本語教師のつぶやき、学習者のつぶやき、海外駐在を経験された方の
声などをひろっています。
今月は、先月に引き続き、野秋貴靖さんです。
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【手話はじめました(3)―手話を学んでみると―】

参加している手話講座が中盤を迎え、先日、2分間スピーチがありました。
受講生が自分の思い出について手話で講師や他の生徒の前で発表します。
受講者は初心者なのに大胆な試みです。
この時の発表の内容、展開や手話表現を忘れないように緊張するところは、
昔経験した英語のスピーチとかなり似ています。

手話を学んでいて感じるのは、手話学習は外国語学習にそっくりだということです。
名詞や動詞など単語(手話表現)を覚え、短文を記憶する。
学習教材のVTRでスキット(寸劇)を繰り返し見る。
初めは訳がわからず、そのうちに少しわかり楽しくなります。

これは英会話を習いたての人が英単語を並べて、何となく意味が通じて
嬉しくなることに似ています。
習うより慣れる、多く会話することの必要性は手話にも共通しています。
違うのは手話は身体表現なので暗誦ではなく、体の動かし方を記憶して
再現することで、ダンスや体操などスポーツに近いものかもしれません。

近年、多くの大学が手話を授業に取り入れています。
聴覚障害者が講師となるので、学生はその生活や環境、歴史も学びます。
受講した学生達の感想には
「声も教科書も使わないのにユーモラスで手話の世界に引き込まれた」
「手話で1対1の会話ができるのが楽しい」
「聴覚障害者は耳が聞こえない人と認識していたが<目の人>だった」
などがあります。

指導教員は、学生達には手話という少数言語を学ぶことで、
同じ社会の「音のない世界」という内なる異文化への視野が広がり、
新鮮な気づきがあった と語っています。

日常的に手話を使っている人にとって手話は母語です。
「相手が理解する言葉で話しかければ、それは相手の頭脳(to the head)に届く。
しかし、相手の母語で話しかければ相手の心(to the heart)にまで届く」
これは、南アフリカの ネルソン・マンデラ元大統領の言葉だそうですが、
自分が手話で聴覚障害者に話しかけるときこれを感じることがあります。

興味のある方、手話を始めてみませんか。

にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子

◆にほんごNPOの代表として種々の活動に取り組む中で感じた諸々を綴ります。
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【書庫の整理に取り掛かる】

プレスクールや小中学校支援で使う教材類が、そして書類が、増殖を続けている。
8月に、畳にして4枚分のジョイントマットを購入したことで、
圧迫感が頂点に達した。

ジョイントマットを使うのは1年に8回のプレスクールだ。
それ以外の時期は、棚に収納しておくことになるのだが、
その棚に空きがない。事務を執るスペースに大きな段ボールが、
デーンと居座っている。

小さなNPOなので、独立した事務所を構えているわけではない。
理事長(私)の家の離れの大部分をNPOが占有している、という状況である。
当然、理事長の私物も棚の一角に収められている。

というわけで、事務所の書庫の整理をすることにした。
書庫には、私が大学・大学院で学んだ時のノートやら論文やらが保管してあり、
書棚のかなりのスペースを占領していた。
学んだ内容は、NPOの仕事に直接・間接に役立つものではあるけれども、古い。
NPOの物と私物が同じ空間に混在しているのも、よくない。
必然的に、母屋の書棚も整理することになった。

提出したレポートのコピーが出てきたりすると、勉強していた当時を思い出す。
刺激が満載の作業だ。中には、もう一度、掘り下げて考えてみたら楽しいだろうなと
心がワクワクするような資料もある。

大学院を修了して以来23年間、ほとんど手に取っていなかったわけだから、
無くても困らないものばかりのはずなのだが、いったん中を見始めると面白くて
作業は、なかなか捗らない。

母屋の書棚に、厳選された(整理途上の物も含めて)資料類が増殖中である。
この調子では、今年中に終わりそうにない。

思い出BOX…. 田野聖一

◆国内外の日本語学校やNPOの日本語教室で日本語教師を長年務めてきた
田野聖一さんの「思い出BOX」をそっと覗いてみましょう。
田野さんは、静岡文化芸術大学で日本語学や英語教育を学び、
この3月に修士課程を修了されました。
研究を続けながら、日本語学校の非常勤講師をしていらっしゃいます。
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【ラーメン屋】

ミャンマー人の女子学生が自動車整備の専門学校の面接に行った。
ドアを開け面接室に入るとき「いらっしゃいませ」と言ってしまったらしい。
緊張しなくていいよ、と面接官は言ってくれたらしいが、強烈な印象を残したのは間違いない。
「ああ、あのいらっしゃいませの子。」
と後々まで言われることだろう。

何を勉強したいのかもわからず、とりあえず日本に居たいから進学するという学生もいる。
ITビジネスの専門学校に進学希望の学生に尋ねる。
「ITビジネスで、何を勉強して、将来はどうしたいの。」
「将来はITビジネスをしたいです。」
「ITビジネスって、例えば何。」
「・・・・・・。」

大抵の専門学校は願書ととともに志望理由書を書く。
面接時も、何を勉強し、将来どうしたいのかを聞かれる。

願書作成時に国際ビジネスの専門学校に進学するネパール人学生に聞いた。
「国際ビジネスを勉強してどうするの。」
「ビジネスをします。」
「どんなビジネスをするの。」
「うーん、何かありませんか。」
苦し紛れに学生が出した答えは、国でラーメン屋をする、だ。

この学生は、今、ラーメン屋でバイトしている。
「ネパールにもラーメンがあるよね。なんでラーメン屋なの」
「日本と同じ味のラーメンを出すラーメン屋をします。」
「君が行こうとしている専門学校で料理は勉強しないよ。
 どうやって日本と同じ味のラーメンを作るの。」
しばらく考えてから学生はこう言った。
「日本人を連れてきます。」
こんな学生でも専門学校に入れる。

《編者メモ》

久しぶりに、ブラジル出身のYさんと会い、就職した不動産会社での
仕事ぶりを聞きました。海外出身のお客さんが多く、一番の苦労は
「保証人がなかなか見つからず、物件の契約までが大変!」とのこと。
他にもいろいろありそうなので、また聞いてみたいなと思っています。(空)

ニューズレター「異文化交差点」
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