2024年12月号(250号)
12月は師走。「普段落ち着いている僧侶(師匠)と言えども、走り回るほど忙しい。」
という説が有名ですが、仏教が伝来した頃には、すでに「しはす(しわす)」
と呼ばれていたそうです。
「歳果(としは)つ」や「為果(しは)つ」が変化したというのが有力な語源説で、
「としはつ」「しはつ」と呼び慣わされていた言葉が、「しはす」から「しわす」に変化し、
師走という当て字で書かれるようになったそうです。
いずれにしても、年末が近づき、忙しい月には変わりないですね…。
にほんごNPOだより
- 「わいわいパーティー」を開きます。HICE KOREKARA BUDDYとの共催です。
日時/12月15日(日)10:30~12:30
場所/クリエート浜松4F HICE
参加費/200円
申込/090-2923-2338(さとう)
「わいわいパーティー」チラシは、下記リンクをクリックしてご参照ください。
https://nihongonpo.org/wp-content/uploads/d0c0db9a6619f6ebad1c1648111943fd.pdf - 子どものための学習支援教室「ぐんぐん和田」(天竜協働センター)
12月 7日(土)15:00~17:00
12月 21日(土)15:00~17:00
1月 11日(土)15:00~17:00
1月 25日(土)15:00~17:00
参加ご希望の方は、090-6363-1006(さいとう)にお電話ください。 - 子どものための学習支援教室「ぐんぐん浜北」(ふれあい交流センター浜北)
土曜日14:00~16:00 ご希望に応じて随時開催します。
参加ご希望の方は、090-7959-4153(たうち)にお電話またはメッセージをください。
小春日和~現場から~…..岡田理江
◆日本語教師のつぶやき、学習者のつぶやき、海外駐在を経験された方の
声などをひろっています。
今月は、8月から11月まで浜松市国際交流協会の委託で開催した
「ひらがな・カタカナ・漢字教室」を担当してくださった岡田理江さんです。
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【はい、元気です!】
買い物の漢字を学習していたとき、レジの場面の練習問題に取り組んでいた
ある学習者が「現金…」とつぶやき、つたない日本語でガソリンスタンドでの
エピソードを話してくれました。
みなさんのご想像の通り、支払いについて「現金ですか?」と聞かれて
「はい、元気です!」と答えたとのこと。
恥ずかしい思いをした一方で、その学習者は「現金」という語彙を
確実に自分のものにできたわけです。
漢字や語彙を学習する際、本来ならばそれらが使われる文脈の中で理解するのが
良いと思います。
漢字教室では、残念ながらやりとりを入れる時間的余裕がないので、
実物のチラシやパッケージを使うことで学習内容が実生活に密着していることを
感じてもらうようにしました。
その後「スーパーで豚の漢字がわかった!」と喜ぶ声も聞かれ、教室が終わった今、
学習者自身が生活の中で学習し続けてくれるといいなあと思っています。
もう1つ。
夏の終わりからの開講だったため、台風の影響で2回目の授業を中止することになりました。
さて、初級学習者への連絡をどうするか…。
日本語で電話連絡するのは無理がある。よし、メールで。
やさしい日本語でひらがなだけのメッセージを書きながら、
ふと「ひらがなだけの文は正しく翻訳できるのだろうか」と思いました。
学習者が一番よく使うであろうGoogle翻訳を試したところ、
「たいふうが きています」→「A storm is coming」
よしよし。じゃぁ、これはどうか?
「にほんごきょうしつは、やすみです。」→「Japanese language is at rest.」
ひらがな、カタカナ、漢字での表記があってこそ通じるのが日本語だと思い知らされました。
にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子
◆にほんごNPOの代表として種々の活動に取り組む中で感じた諸々を綴ります。
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【ピンチヒッター】
にほんごNPOのメンバーの一人からLineがきた。
目の調子が悪く、12月7日(土)に依頼されている講座の講師が務まりそうにない、
ついては、代講をお願いできないだろうか、という内容だった。
講座は、浜松市子育て支援ひろばのうちの一つ、「ささっこひろば」が主催するもので、
対象は、赤ちゃんから3歳未満の子どもとその家族、
テーマは、「絵本を親子で楽しもう~絵本の読み方、選び方~」だという。
「ささっこひろば」については、下記のサイトをご覧ください。
https://www.hamamatsu-pippi.net/shisetsu/kosodateshienhiroba/40525.html
過去2回、NPOのメンバーが担当した回の内容については、逐一報告を受けていたし、
絵本については、今年度の「日本語・学習支援事業」においても研修の主要テーマだ。
準備も何とか間に合うだろうと、楽観主義が頭をもたげた。
そして、気がついたら、「私でよければ」と返事を書いていた。
このところ、年齢相応に体力や気力が衰えてきたなあと感じていた。
そんな折のピンチヒッターの依頼。
「まだまだ役に立てるのだから頑張れ!」ということなのかもしれないなあ。
絵本をたくさん持って行って、小さな子ども達に読み聞かせよう、
保護者の皆さんには、読み聞かせの合い間に、私がこれまで経験してきたことや
研究してきた内容を、できるだけ具体的に分かりやすく伝えようと思う。
思い出BOX…. 田野聖一
◆国内外の日本語学校やNPOの日本語教室で日本語教師を長年務めてきた
田野聖一さんの「思い出BOX」をそっと覗いてみましょう。
田野さんは、静岡文化芸術大学で日本語学や英語教育を学び、
この3月に修士課程を修了されました。
研究を続けながら、日本語学校の非常勤講師をしていらっしゃいます。
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【ターゲット】
ドンキで寿司を買ったという。
10月生として来日した、スリランカ人の学生だ。
「何で食べましたか。」
「フォークで食べました。」
ネタの上からフォークを刺す画像が頭に浮かぶ。
「どこで食べましたか。」
「ドンキで食べました。」
「えっ、ドンキで食べたの?」
思わず普通体を使ってしまう。
みんなの日本語第7課、「道具で動詞」の導入をした。
口頭練習を終え、練習Bをノートに記入しているのを見ると、
「ケータイ」を「けたい」と書いている学生が数人いる。
「ケータイ」は7課の新しいことばに入っている。
しまったと気が付いた。
7課のことばの導入を忘れ、練習に入っていた。
慌てて言葉の導入をし、「~は○○語で何ですか」に移る。
はさみや、消しゴムをネパール語、ヒンディー語、シンハラ語、タガログ語で
何と言うか学生同士で聞きあった。
その後の活動はグループワークだ。
ネパール人はシンハラ語で、スリランカ人はネパール語でというように、
外国の言葉で簡単な自己紹介ができるようにして、と伝える。
「メラ、ナーム・・・」とネパール人学生がスリランカ人学生に教えている。
「もう一度お願いします。」
「ナームはnameですか。」
ターゲットの文である「~は○○語で何ですか」はあまり聞こえなかったが、
方略的能力は使っていた。
《編者メモ》
メキシコ出身の教育実習モデルスチューデントさんに、参加をお願いしたら
「今年生まれた赤ちゃんを家族に会わせたいこともあり、1月まで母国に戻ります。」
とお返事をいただきました。
年末年始を故郷で家族と過ごしたいという気持ち、とてもよく分かります。(空)