にほんごNPO 外国人住民のための日本語教室、外国につながる子ども達の学習支援
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2025年2月号(251号)

2025年2月号(251号)

2月は如月(きさらぎ)。中国での二月の異称をそのまま使ったもので、
日本の「きさらぎ」とは関係ないそう。名前の由来は諸説あり、まだ寒さが残っていて、
衣を重ね着する(更に着る)ということで衣更着(きさらぎ)などがあります。
梅見月(うめみつき)や木の芽月(このめつき)ともいうそうで、
寒い中、春が近づいている兆しを感じることができる月でもありますね。

  1. にほんごNPOだより
  2. 小春日和~現場から~…野秋貴靖
  3. にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子
  4. 思い出BOX…. 田野聖一
  5. 《編者メモ》

にほんごNPOだより

  1. 子どものための学習支援教室「ぐんぐん和田」(天竜協働センター)
    2月  8日(土)15:00~17:00
    2月22日(土)15:00~17:00
    3月 8日(土)15:00~17:00
    参加ご希望の方は、090-6363-1006(さいとう)にお電話ください。
  2. 子どものための学習支援教室「ぐんぐん浜北」(ふれあい交流センター浜北)
    土曜日14:00~16:00 ご希望に応じて随時開催します。
    参加ご希望の方は、090-7959-4153(たうち)にお電話またはメッセージをください。

小春日和~現場から~…..野秋貴靖

◆日本語教師のつぶやき、学習者のつぶやき、海外駐在を経験された方の
声などをひろっています。
今月は、にほんごNPO監事の野秋貴靖さんです。
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【手話学習中】

手話を学び始めて10か月が立ちました。
毎週1回の講座は、初めは負担感が強かったのですが、
少しずつでも会話ができるようになると外国語を習い始めたときのように面白く感じます。
講座では受講生同士で会話する演習の時間があります。
クラスには戸惑いながらも手話で会話をする楽し気な空気が漂います。

手話には時折ブームがやってきます。
若い人気俳優が出演するテレビや映画のドラマの中で手話が使われると、
急に手話が注目されます。
最近「ぼくが生きてる、ふたつの世界」(吉沢亮主演)という映画が話題になりました。
耳の聞こえない両親に育てられた聴者(聞こえる人)の息子の葛藤と成長を描いた映画で、
感動したと多くの反響がありました。

この現象は、手話を学ぶ人も増え、ろう者(聞こえない人)には歓迎すべきことです。
しかし、一方、手話は注目されるが、手話を使う「ろう者」の生活や社会の環境などへの
関心は薄く、それらにも関心を持ち、理解してほしいというのがろう者の方々の思いです。
現実に、聴者には見えにくい、ろう者ならではの苦労があります。

手話の文法上、結論を早く、物事をはっきり言うため周囲との摩擦が生じやすい、
また、手話では「が」「は」「を」などの助詞を使わないので、
文章化した時の助詞の使い方に慣れず、日本語がうまく書けないことなどがあります。
さらに、実社会の活動や生活では、火事のサイレンが聞こえないなど
災害時の情報入手の難しさ、地域社会や職場での雑談を含めた日常のコミュニケーションなどの課題もあります。

また、在住外国人の子どもにも共通することですが、
コーダ(CODA:Children of Deaf Adults、両親がろう者である聴者の子ども)の存在があります。
親は母語(手話)のみですが、子供は音声言語もできるため、親の通訳を務めます。
行政手続き、契約など大人社会の負担の一端を担わせるため子どもの精神的負担は
大きくなります。

日本語とは異なる言語である手話を使うには、手話を使う人、さらに取り巻く事情や
背景も知る必要があると感じます。

にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子

◆にほんごNPOの代表として種々の活動に取り組む中で感じた諸々を綴ります。
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【庭】

例年より2週間ぐらい遅れて、まさに今、山茶花が見ごろだ。
メジロやヒヨドリがやってきて、山茶花の蜜を吸う。
近くに植えてあるキンカンの実も好物のようだ。

仕事に疲れて、ふと顔を上げたとき、見え隠れする小鳥がいると嬉しい。
竹ぼうきで、散った花びらを「ザッ、ザッ」と音を立てて掃き集めるのも爽快だ。
体が温まるし、気分転換にもなる。

1月18日(土)、今年もプレスクールが始まった。
プレスクールでは、4月に新1年生になる外国につながる子ども達と
その保護者のための活動を全8回にわたって提供する。

今年は、参加希望者が例年になく多い。
保護者のカリキュラムを大幅に見直さなければならなかった。
子どものクラス名簿を修正するのも骨が折れた。
準備はかなり大変だったが、庭でひと汗かくと、気持ちを切り替えることができた。

プレスクールの日、子ども達は言語別に3クラスに分かれて活動する。
私は、保護者の活動の担当だ。
準備から片付けまで3時間立ちっぱなしでいると、足腰への負担も大きい。
でも、緊張から来る精神的な疲労感の方が大きいかもしれない。

プレスクールから帰り、昼食を食べ終えてしばらくすると、睡魔がやって来る。
NHKの見逃し配信アプリで見ていたテレビドラマも、気がつくと終わっていたりする。
そろそろ世代交代を、という考えがふと頭をよぎる。

カーテンを開け、庭を見る。
サクラの枝にジョウビタキが来ている。
さて、眠気も覚めたことだし、ドラマをもう一度見ようっと。

思い出BOX…. 田野聖一

◆国内外の日本語学校やNPOの日本語教室で日本語教師を長年務めてきた
田野聖一さんの「思い出BOX」をそっと覗いてみましょう。
田野さんは、静岡文化芸術大学で日本語学や英語教育を学び、
昨年3月に修士課程を修了されました。
研究を続けながら、日本語学校の非常勤講師をしていらっしゃいます。
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【やってみたい】

息子の舌は安い。
年末、駅ビルのメイワンへ息子と2人で買い物に行った。
昼時分になったので、昼食をとることにする。
「何を食べようか。」
「すき家の牛丼がいい。」
うなぎやふぐは無理でも、他に食べるものはたくさんある。
それでも牛丼がいいという。
11月に映画を見に行ったときにも牛丼を食べた。

先日息子がつぶやいていた。
「最近おいしいものを食べに行ってないなぁ。」
「おいしいものって何?」
「牛丼とか。」
外食は大抵牛丼を食べに行く。妻は行きたがらないので私と2人でだ。

数週間前の週末、息子は風邪をひいていた。
「明日も咳がひどいようなら、学校は休みだな。」
「えっ、明日はホイコーローが出る日だよ。」
息子は、私が作ったホイコーローは食べない。
「お前、ホイコーロー嫌いじゃないの。」
「給食のはおいしい。」
きのうはクックドゥのホイコーローを作った。それは食べた。

「ふぐを食べてみたいな。」
ふぐ料理が紹介されているテレビ番組を見ながら息子が言った。
「お父さんも食べたことがないよ。」
「僕さ、はしでガーッってやってふぐを食べたい。」
ふぐ刺しのことを言っているらしい。
発想がベタな上に貧乏くさい。
しかし私もやってみたい。

《編者メモ》

2月だけ28日なのは、何故でしょうか?
国立天文台のHPによると、28日なのも、うるう年に日数が変わるのも、
どちらも古代ローマで使われていた暦において、
現在の2月にあたる月が1年の終わりの月だったためだそうです。
紀元前8世紀頃まで遡る壮大な説で、スペースの都合上紹介に限りがありました。
興味のある方は、HPをのぞいてみてください。(空)

ニューズレター「異文化交差点」
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