にほんごNPO 外国人住民のための日本語教室、外国につながる子ども達の学習支援
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2024年6月号(244号)

2024年6月号(244号)

6月になると、紫陽花があちらこちらで楽しませてくれますね。
青色の紫陽花の花言葉は「辛抱強い愛情」だそうです。
愛を持って、時には辛抱強く、日本で生活するのに困らないよう
教えていきたいですね。

  1. にほんごNPOだより
  2. 小春日和~現場から~….齋藤純子
  3. にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子
  4. 思い出BOX…. 田野聖一
  5. 《編者メモ》

にほんごNPOだより

  1. にほんごNPO総会のお知らせ
     日時:6月29日(土)10:00~11:30
     方法:リモート会議システム(zoom)
        6月22日ごろまでに、会員の皆さまにzoomの招待状をお送りします。
     議事:①2023年度事業報告&決算報告について
        ②2024年度事業計画案&予算案について
        ③その他
     総会に出席できない正会員の方は、委任状の提出をお願いします。 
     書式は、追ってご連絡いたします。
  2. 子どものための学習支援教室「ぐんぐん和田」(天竜協働センター)
    6月8日(土)15:00~17:00
    6月22日(土)15:00~17:00
    7月6日(土)15:00~17:00
    7月20日(土)15:00~17:00
    参加ご希望の方は、090-6363-1006(さいとう)にお電話ください。
  3. 子どものための学習支援教室「ぐんぐん浜北」が始まります。
    場所は、小林駅近くの「ふれあい交流センター浜北」です。
    6月15日(土)14:00~16:00
    6月29日(土)14:00~16:00
     <参加ご希望の方は、下記のURLからお申し込みください。 >
     ポルトガル語版
     URL:https://forms.office.com/r/5hu0aWHuWP
     英語版
     URL:https://forms.office.com/r/i5mAmy6qhS

小春日和~現場から~…..

◆日本語教師のつぶやき、学習者のつぶやき、海外駐在を経験された方の
声などをひろっています。
今月は、「ぐんぐん和田」コーディネーターの齋藤純子さんです。
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【ベルリン滞在記~高齢者と移民と赤ちゃんに優しい街】

今日も娘の社宅の窓から、乳母車を押しながら出勤するお父さんたちの姿が見えます。
バス停の前に保育園があるからです。
ベルリンは、バスや地下鉄など、都市交通がとても便利で比較的安く、
車がなくても十分生活できる仕組みがあります。

私はこの4月から、単身赴任でベルリン勤務になった娘と、新小学一年生の孫と
ベルリン郊外に暮らしています。(観光ビザなので6月末には帰国しますが。)
ベルリンに来る前、私はベルリンが「5人に1人が外国人」という
多文化都市であることを知りませんでした。
しばらくの間、知らずに生活していましたが、私はそれをこのバスの中で知ることとなりました。

ベルリンのバスは、2階建てで、乗降車口が前、中、後ろと3か所あります。
ステップが低く、車いす、乳母車、シルバーカーも、はたまた、犬も、とても乗りやすいです。

私は、毎日、孫をベルリン日本人学校まで迎えに行くため、このバスに乗ります。
最初の頃は、道も、降りる停留所の名前もうろ覚えでした。
降りることにパニックになっている私を励ますように、
にっこりしてくれた中年の婦人がいました。
そんな何気ない、見知らぬ人の笑顔に救われながら、
私はだんだんベルリンでの日常生活に慣れていきました。

バスの車内や停留所では、ロシア語もよく聞こえてきます。
私は膝が悪いので、ノルデイックポールを愛用しています。
そんな私を見て、席を譲ってくれる乗客の方もしばしばあります。

先日は、私が落としたポールを拾おうとしていたら、
座席が高くて拾えないでいるのを見ていたインド系の若い男性が、さっと拾ってくれました。
また、乗ってきた高齢の素敵なご婦人に、あなたは膝は大丈夫?と身振りと英語で尋ねると、
足のサポーターを見せてくれて会話が始まったことも。
中学生と思われる少年に英語で話しかけたら、最後に挨拶をしてくれたこともありました。

以上のように、私のような、見るからにアジア人高齢者でも、
バスという小さな社会の中では、受け入れられている実感があります。
このような豊かな、移民と高齢者と子どもの共生の背景には、
宗教が日本の道徳のように必修科目になっていることも挙げられると思いました。
バスの構造とその中の人々が、ベルリンの私の第一印象です。

こうしたバスでの体験から、私は特にベルリンの移民について興味を持ち、
本やネットの記事を読むようになりました。
ベルリンの移民事情は、また来月のこの欄で、私の分かる範囲でお知らせします。

にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子

◆にほんごNPOの代表として種々の活動に取り組む中で感じた諸々を綴ります。
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【”sever”ショック】

英語を読むのは嫌いではない。
ごくたまに、ちょっと読んでみようかなと英語の本を開く。
そして、知らない単語に出会うたびに、今、学校で支援しているN君やS君の顔が浮かぶ。
書かれている意味が分からないと、ほんとうに苦しいよね。

英文を読むときは、いつも電子辞書を使っていたのだが、
先日、ふと思い立って、紙の英英辞典を引っ張り出してきた。
30年近く前に買った辞書だ。ところどころ黄色のマーカーでハイライトしてある。

ある日、settlementの意味を確認していた時のこと、
すぐ近くのseverという語の、2番目の語釈にハイライトしてあるのが目に入った。
ハイライトはしてあったが、全く覚えていない。
脳内に、ひとかけらもseverに関する情報が蓄積されていないのだ。
遠い昔に蓄積したとしても、脳内の辞書から取り出してくるためのパイプが詰まっている。

読書力は単語力と直結する。
文章をすらすら読み、しっかり内容を理解するためには、
その文章の95%以上の単語を知っている必要があると言われている。

語彙力を高めていくためには「多読」が必要だ。
いろいろなジャンルの文章を楽しんで読み、広く深く単語を蓄積する。
そして、脳内辞書に蓄積した単語に瞬時にアクセスし、意味を照合できるよう、
パイプを太く保ち、通りをよくしておくために。

余談だが、GENIUS英和辞典で、severに「*」がついているかどうかを確かめてみた。
アステリスク「*」の数によって、学習者が覚えるべき単語の重要度がわかる。
severの*は、1つ。Cランクの語だった。

*3つの語はAランクで、中学学習語だ。約1150語ある。
*2つはBランク。高校学習語で、約3150語。
*1つはCランク。大学生、社会人に必要な語で、約5300語だ。
*のついている語をすべて合わせると、約9600語になる。

chatGPTー4によると、9600語を使いこなせる能力があれば、英検1級か準1級に合格できるそうです。

思い出BOX…. 田野聖一

◆国内外の日本語学校やNPOの日本語教室で日本語教師を長年務めてきた
田野聖一さんの「思い出BOX」をそっと覗いてみましょう。
田野さんは、静岡文化芸術大学で日本語学や英語教育を学び、
この3月に修士課程を修了されました。
研究を続けながら、日本語学校の非常勤講師をしていらっしゃいます。
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【確認】

駅に着き財布を家に忘れてきたことに気がつく。

最初に浮かんだのは、一度家に帰るか、だった。
自宅から駅まで自転車で30分、浜松駅から日本語学校がある掛川駅まで約30分、
とても授業に間に合わない。

ちょうど妻が家を出るくらいの時間だった。
妻に駅まで財布を持ってきてもらおうと電話をする。
「まだ、家?」
「ううん、もう出た。」
「だめか。」

どうしたのと尋ねる妻に財布を忘れたことを伝える。
駅に寄ればお金を貸してくれるという。
何も私の財布を持ってきて貰わなければいけないわけではない。
こんな単純なことも思いつかないくらい慌てていた。

「今朝、妻に借金をしました。」
早速学生に話す。借金の意味も説明する。

この日は小テストがあった。ケアレスミスが多い。
1番から3番まではちゃんと「わたしは」と書けているのに
4番だけ「わたしわ」になっていたりする。

「一度書いたらもう一度チェックして。確認って大事だよ。」
今朝、財布を忘れたばかりの私が言えることではない。

《編者メモ》

気温が上がり、アイスを買いに近所にあるシャトレーゼへ。
お店に入ってすぐに、インド系(かな?)の男性が、困っているご様子。
裸足で元気に店内を走り回っている、困っている男性にそっくりな子どもが2人。
お母さんは、レジでお会計。
声をかける前に帰っていきましたが、嬉しさが爆発しちゃったのかな。(空)

ニューズレター「異文化交差点」
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