2022年6月号(222号)
日中は、汗ばむほど暑い日もあります。梅雨入りも間近でしょうか。
洗濯物と空模様が気になる季節となりましたね。
にほんごNPOだより
- にほんごNPO総会
zoomにて下記の通り開催いたします。
正会員の方には議決権がありますので、万障お繰り合わせの上、
ご参加くださいますようお願いいたします。
正会員の方でご欠席の方は、お手数ですが、メール本文にて委任状をお送りください。
委任状の書式は、12日(日)までにお送りします。
お送りいただいた委任状は、事務局で印刷し、保存します。
尚、総会の資料とzoomのご招待は19日(日)までにお送りする予定です。
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総会日時:令和4年6月26日(日)13:30~15:00
開催方法:リモート会議(zoom)
(1)第1号議案 令和3年度活動報告
(2)第2号議案 令和3年度決算報告とその承認
(3)第3号議案 令和4年度活動計画案
(4)第4号議案 令和4年度予算案の提案とその承認
(5)その他 にほんごNPOの組織について - 子どものための学習支援教室「ぐんぐん和田」(天竜協働センター)
6月11日、25日(土) 15:00~17:00 - 読書会
6月の読書会を下記の日程で行います。
参加を希望される方は、加藤にご連絡ください。
日時:6月10日、24日(金) 13:30~15:00
課題図書:バトラー後藤裕子著『多言語社会の言語文化教育』(くろしお出版)
10日(金)第3章「バイリンガリズムと認知の問題」
24日(金)第4章「話しことばの発達」
方法:リモート会議システム(zoom)
参加費:にほんごNPO会員は無料です。
小春日和~現場から~…. 齊藤純子
◆リニューアル号より、特集として日本語教師のつぶやき、学習者のつぶやき、
海外駐在を経験された方の声などをひろっています。
今回は、「外国人児童生徒放課後学習支援:ぐんぐん和田」を担当されている
齋藤純子さんのコラム前編です。
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【ぐんぐん和田~番外編】<前編>
にほんごNPOの自主事業である「ぐんぐん和田」は、今年で7年目になります。
東区の天竜協働センター(薬新町)で月に2回、土曜日の午後に開催しています。
これまでに、地域の生徒を中心に約80人の子どもたちが学んできました。
日本生まれの子どもだけではなく、小中学校年齢で来日した子どもたちや
ブラジル人学校から日本の学校に編入した子どもたちなど、顔ぶれはさまざまです。
学校の先生やにほんごNPOの指導者の紹介、口コミなどで広まってきました。
ぐんぐんで学び、高校に進学した生徒も10人となり、社会人として頑張っている生徒も
います。
A君は、中1で来日後、部活もしつつ勉強会にも熱心に通いました。
そして、外国人特別選抜で高校に進学。中学で培った基礎力をぐんぐんと高校で伸ばし
校内でトップクラスの成績を収め、大学入試に臨んだ、と聞きました。
高校の3年間、「ぐんぐん」には参加しませんでしたが、時折、LINEなどで
様子を知らせてくれていました。が、大学入試の後、連絡がありません。
新年度が始まり、私自身は「今年も頑張るぞ」とフレッシュな気持ちでいっぱいでした。
一方で、彼のことがとても心配になり、連絡を入れてみることにしました。
結果は残念!そして、自宅で浪人するとのことでした。
予備校に通うこともなく、進路指導の先生がいるわけでもありません。
私は、自分に何ができるだろうかと悩み、加藤代表に相談してみることにしました。
にほんごNPOには、いろいろな経験を積んだメンバーがいますから、
きっと、どなたか大学入試に詳しい方がいるはずだと思ったからです。(来月号に続く)
にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子
◆にほんごNPOの代表として種々の活動に取り組む中で感じた諸々を綴ります。
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【読書会】
読書会が始まった。
課題図書は、バトラー後藤裕子著『多言語社会の言語文化教育』(くろしお出版)だ。
1回目は7人、2回目は6人で感想を語り合った。理解が深まるから、一人で読むより
数倍楽しい。
6月10日(金)は、「バイリンガリズム」についての章を読む。第二言語の臨界期に
ついての考察もあり、もしかしたら、90分では時間が足りないかもしれない。
事前に読むにも、骨が折れるに違いない。でも、どうか、読めそうにないから参加しな
い、などとは考えないでほしい。ワイワイと楽しく語り合い、みんなで補い合って、ポ
イントを掴みましょう。
【中学を卒業したら】
僕は、今、中学2年生。
ブラジル人学校に5年生まで行き、6年生から日本の小学校に編入した。
引っ込み思案のせいか、今年で3年目なのに、日本語がなかなか上達しない。
読める漢字が少ないから、教科書を開いても何が書いてあるのかさっぱり分からない。
お母さんは、勉強しろと口うるさいけれど、どうやって勉強したらいいか分からないし、
何より、勉強は苦しい。ブラジルの友達とパソコンでゲームをしているときだけが、嫌な
ことを忘れていられる唯一の時間なんだ。
今年の4月から、1週間に2時間だけだけど、高校で化学を教えていたという先生が来て
くれている。先生は、スペイン語が上手だ。趣味で勉強していると言っていた。
とても優しくて、僕の話をじっくり聞いてくれた。僕は、これまでのこと、不安に思って
いること、これからのことを先生にいっぱいしゃべって、すごく心が軽くなった。
「中学を卒業したら、お父さんみたいに工場で働くんだ。」
と僕が言ったとき、N先生は大きくうなずいてくれた。僕の気持ちを受け止めてくれて、
少しホッとした気持ちになった。
K君の母親は、昔、筆者がボランティアをしていたブラジル人学校に在籍していた。
一昨年のプレスクールにK君の妹を連れて来ており、どこかで見たことがある人だなあ
と思っていたら、「ブラジル人学校の日本語の先生ですよね。」と声をかけてくれたという経緯がある。
K君は日本の学校に3年目ということで、市教委から受託した日本語・学習支援事業の対象ではない。
でも、お母さんとのつながり、N先生との出会い、学校との連携…。
さまざまな偶然が重なり、NPOの予算でのK君の支援が実現したのだ。
今はまだ難しくても、K君にはいつか「学ぶ」ということに前向きになってもらいたい。
そのためにも、今、N先生の支援を受けられる間に、「学びの基本」となる言葉や態度を
しっかりと身に付けて欲しいと切に願う。
思い出BOX…. 田野聖一
◆国内外の日本語学校やNPOの日本語教室で日本語教師を長年務めてきた
田野聖一さんの「思い出BOX」をそっと覗いてみましょう。
田野さんは4年前に静岡文化芸術大学に入学して日本語学や英語教育を学び、
4月からは大学院で学ばれています。
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【まぶしい】
大雨が降り避難指示も出ていたが、直に上がりそうだった。
7時29分小学校から休校になったとのメールが来る。
「友達の家に遊びに行っていい。」
息子が妻に聞いている。
「ダメに決まってるじゃん。」
別にいいじゃん、と思ったが言わない。一般論として正しいし、妻に反論するとロクなことにならない。
西村賢太『一私小説書きの日乗–憤怒の章』(1)を買った。
帯には「緊急出版」、「数多の作家を魅了する、著者のライフワークの日記文学」とある。
筆者は2022年2月に急逝している。
平成24年5月に始まる1年間の日記だ。寝る前に食べたものも書いてある。
ウインナー揚げやインスタントラーメンなどジャンク系の食品がおいしそうだ。
柿の種2袋、プリッツ1袋を食べながら読んだ。
2月6日、西村は幼・小・中の教員千名が出席する総会で記念講演をしている。
その際人権上許されない発言をしたとかで、主催していた教育委員会から訂正とお詫びを求められたらしい。
著者は文章を書く者として「表現に関して最低限のルールを踏まえて」(2)の発言であり、
それを「“人権上許されない発言”だの“不適切発言”だの」(3)の杓子定規の指摘で訂正、謝罪を
強要される筋合いはない、と突っぱねている。この潔さ。妻に反論できない私にはまぶしい。
注
●西村賢太(2022)『一私小説書きの日乗–憤怒の章』〈角川文庫〉KADOKAWA
▼(2)西村、前掲書、192頁
▼(3)西村、前掲書、193頁
《編者メモ》
梅雨入り間近で、緑豊かな季節となりました。
身近な花を喜ぶのもいいですし、あじさいの名所を訪れるのも楽しいですね。
紫陽花の花言葉は、色によって変わり、青は『辛抱強い愛情』、白は『寛容』、
ピンクは『元気な女性』とのこと。雨の日の話題が、ひとつ増えた気分です。(空)