にほんごNPO 外国人住民のための日本語教室、外国につながる子ども達の学習支援
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2023年11月号(238号)

2023年11月号(238号)

11月イメージ画像

早いもので、11月になりました。
秋らしい日も増えてきたとは言え、昼間は気温が高く、1日の寒暖差が大きいですね。
インフルエンザが、かなり流行しているようです。
体調に気をつけて、秋を楽しみたいですね。

  1. にほんごNPOだより
  2. 小春日和~現場から~….野秋貴靖
  3. にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子
  4. 思い出BOX…. 田野聖一
  5. 《編者メモ》

にほんごNPOだより

子どものための学習支援教室「ぐんぐん和田」(天竜協働センター)
11月12日(土)15:00~17:00
11月25日(土)15:00~17:00
参加ご希望の方は、090-6363-1006(さいとう)にお電話ください。

小春日和~現場から~….. 野秋貴靖

◆日本語教師のつぶやき、学習者のつぶやき、海外駐在を経験された方の
声などをひろっています。
今回は、事務所で開いている「ぐんぐん勉強会」に助っ人で来てくださっている
野秋貴靖さんです。

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【日本語習得の難しさ】

ある高名な日本人男性が、
「日本語のデリケートなニュアンスは、外国語では伝えることはできない」
と強調したところ、大阪で生活する米国人の女性から
「そう言わはるけど、デリケートは英語、ニュアンスはフランス語やないですか。
何言うてはりますねん。」と反論され、
彼は、しばし黙ってしまったという話を聞いたことがあります。
「デリケートなニュアンス」を漢字と平仮名でどう表現すればいいのか。
「微妙な陰影」、でしょうか。

また、ある作詞家が
「最近は日本語が貧しくなり、絶望感を覚えます。
人間は言葉でコミュニケーションを取り思考する。
日本語を大切にしなければ、日本というレゾンデートルすら
なくなってしまいます」と発言した記事を読みました。
えっ?「レゾンデートル」って何?存在意義という直訳はありますが、
発言の意味が読者にわかるのかな。
これを使うことで、日本語を貧しくすることにならないのでしょうか。

日本語習得の難しさは、敬語や謙譲語だけでなく、こういった内容が
曖昧で分かりにくいカタカナ語を含めて習得することが求められている
ところにもあると思います。
日本に生まれ育ち、日本語を母語とする両親のもとで暮らしても、
言葉に変化も揺れもあるなかで、生活言語の獲得も簡単ではないところ、
十分な環境がそろわない外国にルーツのある子どもたちにとって、
学習言語まで習得するのは、さぞ大変なことだろうと思います。

長く日本に住んでいても、日本語の会話が円滑でない人がいます。
一方、来日間もないのに、自然な日本語を話す若い外国人もいます。
聞いてみると、共通していたのは、意外にも母国で日本のアニメを
頻繁に見ていたということでした。
私は、外国にルーツのある子どもたちに学校の勉強や日本語を教える
お手伝いをする機会があるだけで、日本語学習については素人ですが、
人それぞれ、学び方には個人差があるものの、
言葉を習得する方法は意外に身近にあるのかもしれないと思っています。

にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子

◆にほんごNPOの代表として種々の活動に取り組む中で感じた諸々を綴ります。
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【秋の夜長の楽しみは】

今井むつみ著『言葉力と思考力』(筑摩書房)を読みながら考えた。
学校支援の現場で、あるいはプレスクールで、
今井むつみさんが推奨する絵本の読み聞かせは実践中だ。
絵本の読み聞かせのほかに、どうすれば、「生きた言葉」を
子どもたちにインプットすることができるだろうか。

プレスクールを担当するスタッフとの話し合いの中で、
自己紹介をさせるとき、お手玉を使ったらどうかという案が出た。
事務所にあったお手玉は、いかにも古く、ポンポンと投げて遊んでいるうちに、
中に入っている豆の粉がパラパラと落ちる始末だ。
「かわいい色のお手玉があったらいいね。」
(確かに!)
「はい!できれば10個欲しいです。数を教えるときにも使えるし。」
(うーん、3クラス分で30個かぁ…)
「朝の自由遊びの時間にも使わせたいね。」
(遊びながら、いろいろな言葉をインプットできるね。)

というわけで、お手玉を作ることにした。
YouTubeで検索してみると、「お手玉の作り方」を紹介している動画はすぐに見つかった。
中には小豆を入れるものだとばかり思っていたが、「ペレット」という物を入れるらしい。
教材づくりを手伝ってくれている由里子さんと一緒に、近くの手芸品店へ買いに行った。

布は、昔、パッチワーク沼にはまっていたときのものが結構ある。
戸棚の奥から出してみると、30年ものとは思えないほど色鮮やかだ。
2種類の布で、座布団型のお手玉を作る。色合わせが楽しい。

自己流で縫ってみた。ミシンは埃をかぶっているから、手で縫う。
失敗を重ねながらなんとか完成させたが、どうも不格好だ。
もう一度YouTubeで「手縫いでお手玉を作る方法」を紹介している動画をじっくり見た。
動画で学んだあとは、かなり楽にお手玉が作れるようになった。
ちょっと大げさかもしれないけれど、兼好法師の言う通り、
「少しのことにも先達はあらまほしきことなり」だなあ。

それ以来、夕食後にラジオで朗読を聴きながらチクチクと針を動かすのが、
何よりの楽しみになった。

思い出BOX…. 田野聖一

◆国内外の日本語学校やNPOの日本語教室で日本語教師を長年務めてきた
田野聖一さんの「思い出BOX」をそっと覗いてみましょう。
田野さんは5年前に静岡文化芸術大学に入学して日本語学や英語教育を学び、
現在は、大学院で学ばれています。
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【迷宮】

小5の息子いわく、中2病の人は眼帯をつけ、腕に包帯を巻いている。
将来マンガ家になりたいと夢見ている息子は、
中2病を主人公にしたマンガを描きたいという。

最近中2病について調べている。
「中2病の人はね、眼帯と包帯だけじゃなくて、
黒い上着を一番上のボタンだけはめて学校に行くんだよ。」
黒い上着は学ランかマントのことであろう。
「それで、破壊をサクリファイスと言ったり、迷宮をラビリンスと言ったりするみたい。」
隕石はメテオ、黄昏はトワイライト、運命はデスティニーと言うらしい。

「それと、自分のことをオレとは呼ばないで私と言ったりして、
私は天才だ、神の生まれ変わりだ、世界を救うとか言うんだよ。」
神の生まれ変わりはもちろんメシヤだ。
息子はこの手のネタを友達に聞いたり、YouTubeで調べたりしている。

元ネタの画像を見せて貰った。中2病をネタにしたコントだ。
黒マントを羽織った男子学生が机に座っている。
先生が腕に巻いた包帯について尋ねると、
はるか昔に悪魔だかなんだかを倒し、この腕に封印した、などと答えている。
家で母親にその眼帯はどうしたと尋ねられると
「お前は知らない方いい」
と言いつつも、
「この眼帯には私が封印した悪魔が閉じ込められていて」
などと、知らない方がいいと言ったにも関わらず説明をしている。

視聴後、息子が聞いてきた。
「ねえ、迷宮って何。」
自分で調べろと返した。

《編者メモ》

10月22日に日本語教育能力検定試験がありました。
受験された方、お疲れさまでした。今年も難しかったそうですね。
勉強したことは、必ず糧になると思います。
来年4月から、国家資格「登録日本語教員」が始まりますが、
更新されていく情報を確認していく必要がありますね。
(空)

ニューズレター「異文化交差点」
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