にほんごNPO 外国人住民のための日本語教室、外国につながる子ども達の学習支援
NEWSLETTER
2023年6月号(233号)

2023年6月号(233号)

早いもので、もう6月。梅雨の季節ですね。
紫陽花が咲き、夜は蛍が舞うところもあるでしょう。
ジメジメを憂鬱に思うこともありますが、
この季節ならではの、いいこともありますね!

  1. にほんごNPOだより
  2. 小春日和~現場から~….齋藤純子
  3. にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子
  4. 思い出BOX…. 田野聖一
  5. 《編者メモ》

にほんごNPOだより

  1. にほんごNPO総会のお知らせ
    日時:6月25日(日)14:00~15:30
    方法:リモート会議システム(zoom)
       6月20日ごろまでに、会員の皆さまに招待状をお送りします。
    議事:①2022年度事業報告&決算報告について
       ②2023年度事業計画案&予算案について
       ③任期満了に伴う役員の交代について
    総会に出席できない正会員の方は、委任状の提出をお願いします。
    書式は、追ってご連絡いたします。
  2. 子どものための学習支援教室「ぐんぐん和田」(天竜協働センター)
    6月10日(土)15:00~17:00
    6月24日(土)15:00~17:00
    参加ご希望の方は、090-6363-1006(さいとう)にお電話ください。

小春日和~現場から~….齋藤純子

◆日本語教師のつぶやき、学習者のつぶやき、海外駐在を経験された方の
声などをひろっています。
今回は、「ぐんぐん和田」コーディネーターの齋藤純子さんです。
*********************************

【「思い」の源泉~5月号の齊藤明子さんへの返信~】

N少年が中3の3月のことです。
「ぼくも高校に行きたかった。」と外国人生徒支援員(当時)の私に語りました。

フィリピンから小学校6年で来日し、浜松市中区の中学校で1年過ごして
磐田市立N中学校2年に編入したとき、私はN君に出会いました。

彼は、耳に問題があるのでは?と思うほど、聞こえた音が表記できず、
学習にはなかなか進めない生徒でした。何度繰り返しても、九九もあやふやでした。

今では、外国につながる生徒の取り出し指導について
「個別の指導計画」を立てて、目標をもって指導に当たります。
しかし、当時は、その制度ができる前でしたし、学校の外国人生徒担当の先生も
学級担任の先生も、N君への指導は十分とは言えない状態でした。
通訳の派遣制度もなかったため、家庭との連携なども考えられない状態でした。
今から10年前のことです。

N君の指導時間は週2時間でした。
教材もなく、私は問題点を1人で抱え込むしかありませんでした。

さて、中3になった、N君の話に戻ります。
中学校では、中3の3学期ともなると、入学試験の準備一色です。
本気で高校に行きたくなったN君でしたが、準備が足りませんでした。

卒業を目前にしたころ、私はN君に
「もし、自分の家の近くで続けて勉強ができる場所があったら、N君は行きたい?」と尋ねました。
「行きたい。」彼ははっきりと答えました。

当時、本当に無力だった自分でした。
N君のような生徒をもう2度と出してはいけない、
自分自身が持続可能な、子どものための学習の場を作りたい、とその時強く思いました。
そして、磐田も大切だけれど、自分の居住地浜松市東区でそのような場を作りたい、と決意しました。

心が決まったあとにすぐ、にほんごNPOとめぐり合うことができました。
にほんごNPOで教科学習と日本語を統合した教材の開発に取り組み、
その教材を使って、学校での支援ができるようになりました。

そして、にほんごNPOでも、学校での支援時間の不足を補うための場の開設を
模索していることを知りました。
こうして、ありがたいことに、私の「思い」は形になっていきました。

第二言語で学習に取り組む子どもたちは、多くの困難を抱えています。
「ぐんぐん和田」が続いているのも、この子どもたちの困難を目の当たりにしているNPOの仲間が
私を支えてくれているからこそだと思います。

皆様に感謝して、今年も「ぐんぐん和田」の勉強会を開いて行きたいです。

にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子

◆にほんごNPOの代表として種々の活動に取り組む中で感じた諸々を綴ります。
*********************************

【とても大きいかめ】

日曜日の日本語教室に復帰してから2カ月が過ぎた。
クラスでは、『TRY!日本語能力試験N4 文法から伸ばす日本語』(アスク)を使い、
もう一人の先生と交替で担当している。
5月の最終週は私の担当だった。

その日は、3課の復習を終わり、4課「私の町ハノイ」に入ることになっていた。
登場人物がスピーチで出身の町を紹介するという設定だ。
私は、スピーチ原稿をただ読み上げるのではなく、
スライドを見せながらスピーチをするという設定にしたかった。
学習者のレベル差が大きく、文字情報だけでは理解が難しいと思ったからだ。

本文は、「湖の中にあるお寺には大きいかめがかざられています。
とても大きいかめですから、ぜひ見てください。」という文で締めくくられている。
動物の亀なのか、焼き物の甕なのか、どっちだろう。

ネットからダウンロードした音声教材を聞けば、アクセントからすぐ判明するとは思ったが、
スライドを作りたかったこともあり、マイクロソフトの検索エンジン’bing’に聞いてみることにした。

「ハノイの中心にある湖の中の寺院で、大きいかめが飾られている寺院を知っていますか。」
とキーボードではなく、音声で聞いてみる。
すると、すぐに返事が返ってきた。「はい知っています。それは、・・・。」
続けて、「では、ホアンキエム湖の寺院の亀の写真を見せてください。」
という依頼にもすぐに応えてくれた。

bingは、chatGPTのように会話をしながら検索を行うことができる。
これまでのように、検索結果を羅列するだけの検索エンジンとは異なり、とても楽しい。
以前より作業効率が格段に上がったのも実感する。

当日は、13インチのタブレットでスライドを見せながら、スピーチを聞かせた。
プロジェクターを使い、大画面でスライドを見せたいところだが、
NPOが運営する地域の日本語教室では夢のような話だ。
クラスサイズが数人規模であれば、タブレットは、まずまずの大きさだと言えるだろう。

何かと制約は多いが、工夫をし、できる範囲で「面白い」授業を提供していきたい。

思い出BOX…. 田野聖一

◆国内外の日本語学校やNPOの日本語教室で日本語教師を長年務めてきた
田野聖一さんの「思い出BOX」をそっと覗いてみましょう。
田野さんは5年前に静岡文化芸術大学に入学して日本語学や英語教育を学び、
現在は、大学院で学ばれています。
*********************************

【イケメン】

技能実習生の男の子たちが浮き足立っていた。
掛川市役所の日本語教室だ。
先々週、大学で日本語教員養成課程をとっている女子大生が3人授業見学にきた。

「チョコレートケーキとチーズケーキ、どちらが好きですか」
と練習をしていたときだ。
ソワソワしていたのは「オヤジ」の私も例外ではない。

「日本の女子大生はチーズケーキの方が好きなのかな。」
と、どうでもいい質問を授業中にしてしまう。

「女子大生と言うのはまずいのではないか。」
帰宅後、妻に突っ込まれ、青くなった。
市役所の教室では、女子大生って華やかでいいね、など不適切な発言を連発していた。
小学校でも男女を問わず「さん」付けで呼ぶご時世だ。
昭和世代のジェンダー観、特に「オヤジ」のそれは救いがたい。

先週は大学生が3人見学に来た。女性2人、男性1人だ。
授業後のミーティングで女性スタッフが言った。
「イケメンの若い男の子が来たから、女性の学習者たちが喜んでいた。」

「イケメン」という言葉は許されるらしい。

《編者メモ》

GW後、私を待っていたのは暴飲暴食した重い身体でした。
まつりに浮かれて、ついつい…。
学んだことも、体重のように、もれなく身についてくれるといいのですが…。(空)

ニューズレター「異文化交差点」
Loading