にほんごNPO 外国人住民のための日本語教室、外国につながる子ども達の学習支援
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2024年4月号(242号)

2024年4月号(242号)

ソメイヨシノが開花し始めました。
今年は、入学式や始業式を華やかに祝ってくれるようなタイミングです。
新しいスタートが、笑顔でありますように!

  1. にほんごNPOだより
  2. 小春日和~現場から~….中村雅俊
  3. にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子
  4. 思い出BOX…. 田野聖一
  5. 《編者メモ》

にほんごNPOだより

子どものための学習支援教室「ぐんぐん和田」(天竜協働センター)
4月はお休みです。5月の日程が決まりましたら、HP等でお伝えします。

小春日和~現場から~….. 中村雅俊

◆日本語教師のつぶやき、学習者のつぶやき、海外駐在を経験された方の
声などをひろっています。
今月は、天竜区の中学校で学習支援をしてくださっていた中村雅俊さんです。
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【学校って、どんなとこ?】

以前、中2のブラジル人生徒を支援した。
日本で生まれ、ブラジル人学校に通っていたが、
親が家を建て永住を決めたため、小6で日本の小学校に入った。
中1では欠席が多く、3学期は不登校だったという。

初めて会った日、話してはくれるものの、意味がくみ取れないことも多々あり、
「これでは、担任の先生もクラスの仲間もよく理解できないだろう。」という印象だった。

数回支援をするうちにも欠席や空振りがあった。
コーディネーターの杉浦さんからの
「日本語を教えるというより、はじめは彼に寄り添ってあげて下さい。」の言葉通り、
私との時間が楽しく過ごせるよう、学習の途中で、何に興味をもっているのか話題を探した。

2ケ月が過ぎた頃、ブラジル人学校のことを聞いていると、いじめにあったという。
教室でもボールを投げつけられたり、力ずくで机に叩きつけられたリ、乱暴なものだった。
「この中学は?」と聞くと、中1でいじめがあったという。
それまで知らなかった“浣腸”というのもされたと、手で示し説明した。
私は黙ってひたすら聞いた、伝わらない内容もあったが…。

それからは、少しずつ自ら話すようになった。
1年時のことを話して、胸につかえていたものが取れたのかもしれない。
「クラスで誰か助けてくれる?」と聞くと、「H君」と言う。
休み時間、担任の先生にH君を連れてきてもらい、彼を助け、守ってくれるように頼んだ。
H君は野球部のとても快活な子で、笑顔で答えてくれた。
その後、欠席も減り、2学期からほとんど欠席しなくなった。

近年、コミュニケーションという言葉がよく使われるが、
気持ちを伝えられることこそ人として大切なことだと再認識した。
そして、学校って、どんなとこ? 勉強、友達、部活…etcもちろん、その通り。
だが、第一に安心できる居場所でなくてはならないだろう。
言葉が十分分からないと不安でいっぱいなのだから・・・。

にほんごNPO諸事雑感 …. 加藤庸子

◆にほんごNPOの代表として種々の活動に取り組む中で感じた諸々を綴ります。
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【愚痴は愚痴】

桜の開花と共に、2024年度が始まった。

「社会人のための日本語教室」、小中学校での「日本語・学習支援」、
それぞれの事業が動き出している。
沖縄在住の知人が経営する事業所から依頼された「オンライン日本語教室」。
スタート日も決まり、準備段階に入った。

浜松市の「日本語教室開催事業」は、これから募集が始まる。
説明会に参加し、企画提案書を作成するという仕事が待っている。

2019年度から受託している「プレスクール事業」。今年度も受託できるだろうか。
募集が始まるのは、たぶん、6月になってからだから、もう少し間がある。
昨年度の活動を客観的に振り返り、小学校入学前の子ども達や保護者のための活動の
理論的根拠を確かなものにしたいと思う。

「外国につながる子どものための週末学習会」は、和田地区だけでなく、
浜名区での開催に向けてコーディネートを務めてくれる方との打合せを計画している。
参加を希望してくれる子ども達が果たしているだろうか。
不安を抱えてのスタートになりそうだが、慎重に事を進めていきたい。

3月~4月は、前年度事業の報告書の提出と新年度事業の計画や実施が重なり、
何やかやと本当に忙しい。
忙しい中にも新たな出会いがあり、チャレンジングで興味深い活動が待っている。
「忙しい、忙しい!」と愚痴をこぼしながらも、この仕事を楽しんでいる自分がいる。

スタッフの皆さん、今年度もどうかよろしくお願いします。

思い出BOX…. 田野聖一

◆国内外の日本語学校やNPOの日本語教室で日本語教師を長年務めてきた
田野聖一さんの「思い出BOX」をそっと覗いてみましょう。
田野さんは、静岡文化芸術大学で日本語学や英語教育を学び、
この3月に修士課程を修了されました。
研究を続けながら、日本語学校の非常勤講師をしていらっしゃいます。
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【離任式】

息子が春休みに入った。
映画に連れて行って欲しいという。
いつから始まるのか尋ねると、4月19日からだと言った。
「じゃ、春休みが終わってからだね。」
「え、春休みってそんなに短いの。」 
4月下旬くらいまであると思っていたらしい。もう5年生なのにどうかと思う。

今日、息子は離任式のために小学校に行った。
春休みに入る前に聞いた話を思い出す。2月下旬のことだ。
同じクラスの女子が色紙を持って来たので、担任の先生にメッセージを書いた。
「で、なんて書いたの。」
「国語の授業をもう少しちゃんとして欲しい。」
「お前、そこは1年間ありがとうとか、なんとか書くだろう。」
「書いたときは、何のための色紙か考えなかったんだ、女子も何も言わなかったし。」
半分冗談で書いたらしい。

息子だけではなく、算数の授業が難しいだの、黒板の字が読みにくいだのと書いた男子もいるという。
「来年も担任になったらどうするの、歩海くん(息子の名)、今年は国語ちゃんとやるからよろしく、
 とか言われるよ。」
「まずい、先生異動にならないかな、いやきっと異動する、オレには未来が見える。」

先日の新聞に県や市職員の人事異動が出ていた。
普段新聞など見向きもしない息子が目を皿のようにして担任の名を探していた。
今朝、肩を落として小学校に行った。

《編者メモ》

登録日本語教師のこと、検定試験のこと、今年は、しっかりと情報を収集し、
早めに対策をしたい事柄が多いですね。
(空)

ニューズレター「異文化交差点」
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